
睡眠は、心身の健康を維持するための重要な要素のひとつ。
睡眠時間は人生の3分の1を占めるため、「睡眠の質=人生の質」と言っても過言ではないかもしれません。
そこで今回は、睡眠の質を高める方法や、睡眠の効果・メリットなどを詳しく解説していきます。
目次
質の良い睡眠にはどんな効果が?睡眠のメリット
「きちんと睡眠をとっているのに、なぜか体がだるい」と感じていませんか?
もしかすると、睡眠の質に問題があるのかもしれません。
まずは、質の良い睡眠にはどのような効果があるのか、そのメリットを詳しくみていくことにしましょう。
疲労回復
体は、眠っている間に成長ホルモンを分泌し、疲れをとり、傷んだ部分を修復します。
そのため、体と心の疲労を回復させるためには十分な睡眠が不可欠。
睡眠を十分に取ることで、内分泌機能が向上し、体内の代謝アップやストレスへの耐性が強まります。
生活習慣病の予防
睡眠不足は生活習慣の乱れを招く一因。
就寝時間や起床時間を定めず、不規則な生活を続けていると、がん(悪性新生物)や心疾患、脳血管疾患をはじめとした生活習慣病を発症させるリスクが高くなると言われています。
裏を返せば、しっかりと質の良い睡眠がとれていれば、生活習慣病を予防することができるのです。
肥満の予防
食欲をコントロールするホルモンは睡眠と密接な関係を持っています。
体内では、グレリン(食欲増進)とレプチン(食欲抑制・エネルギー代謝促進)と呼ばれる2つのホルモンによって食欲のバランスが保たれています。
体が睡眠不足の状態だと、グレリンの分泌が過剰になり、レプチンの分泌は減少すると言われています。
そのため、しっかりと睡眠を摂ることは、太りにくい体質づくりにつながります。
ストレスの緩和
睡眠には、脳を休ませて自律神経を整える働きがあります。
睡眠時間が足りない場合、不安感や抑うつ感、被害妄想などが発生しやすくなるともいわれているほどです。
ストレスを感じたり、不安な気持ちが続いたりするときは、ぐっすり眠ることでストレスと共に発生するコルチゾールの分泌を正常に戻し、ストレスやうつ症状を緩和・軽減することが期待できます。
美肌効果
睡眠時に分泌される成長ホルモンは、肌のターンオーバーを促進する働きもあります。
成長ホルモンの分泌は、加齢により徐々に少なくなりますが、睡眠不足・浅い眠りを続けることも、成長ホルモンの分泌を妨げる原因になってしまいます。
質の高い睡眠をとる方法
質の良い睡眠をとる重要性が分かったところで、次は、質の良い睡眠をとるために簡単にできる5つの方法を紹介しましょう。
起床時間・就寝時間を決める
質の高い睡眠は規則正しい睡眠リズムによって得られます。
毎朝決まった時刻に起き、毎晩決まった時間に寝ることで、規則正しい睡眠リズムの土台をつくることができます。
起床時間・就寝時間を規則正しくすることで、睡眠のリズムを崩さないことが出来るので、休日の日だからといって、夜更かしや寝だめは避けたいもの。
折角の睡眠リズムが崩れてしまい、平日に支障をきたしてしまう可能性が高まってしまうからです。
平日も休日も、ほぼ変わらない時刻に起きることが理想的です。
寝る1~2時間前にお風呂に入る
深い眠りを得るためには、体の中心部の体温と部体温を下げる必要があり、入浴によってあらかじめ体温を上げておくと、就寝時の体温との落差が大きくなり、眠りに入りやすいといわれています。
また、37~39℃程度のお風呂に入ることで、副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスできます。
ただ、40℃以上の熱めのお風呂に入ってしまうと、交感神経が優位になり、興奮状態になってしまうため気を付けましょう。
就寝前1~2時間はリラックスする
質の良い睡眠を得るためには、副交感神経を優位にさせるのがポイント。
就寝前までパソコンやスマートホンを触ったり、仕事や勉強をし続けてしまうと、交感神経が優位になってしまい、ベッドに入っても脳の活動が納まるまで長く時間がかかってしまいます。
質の高い睡眠をとるには、就寝前の1~2時間は
- ゆっくり湯船につかる
- リラックスできる音楽を聞く
- 軽く身体をほぐす
など、体をリラックスさせるように心がけてください。
部屋の照明が明るいと、脳は朝だと勘違いしていつまでも副交感神経が優位にならないため、夜眠る前は意図的に照明を暗くしておくのも効果的です。
また、就寝前のカフェインやアルコールの摂取、喫煙も控えましょう。
いずれも神経や胃などに刺激を与え、快適な睡眠を妨げる要因となってしまいます。
起床後すぐに朝日を浴びる
質の高い睡眠は規則正しい睡眠リズムによって得られますが、睡眠リズムを整えるためには、朝日を浴びることも大切。
朝日を浴びることで、体内時計をリセットする物質「セロトニン」の分泌量が増え、それと同時に眠気を促す物質「メラトニン」の分泌も増えるため、より深い眠りを得ることができるからです。
朝起きたら窓を開け、5分~10分程度朝日を浴びるようにしましょう。
朝食を食べる
朝食をとることで体のさまざまな臓器にも朝が来たことを知らせることができます。
体内時計をリセットする物質「セロトニン」は、トリプトファンというアミノ酸がなければ作られないため、朝食にトリプトファンを多く含む牛乳や大豆製品を多めに摂取するとよいでしょう。
理想の睡眠時間は?
2016年に睡眠を健康的に取るための国の指針が見直され、「どのくらいの時間眠れば適切なのか?」というガイドラインを、厚生労働省が年代ごとの注意点と共にまとめています。
厚生労働省が推奨する睡眠時間は以下の通りです。
~10代前半 | 8時間以上 |
~25歳 | 7時間 |
~45歳 | 6時間半 |
~65歳 | 6時間 |
ただ、これには明確な医学的根拠があるわけではありません。
人によって適した睡眠時間は異なります。
理想の睡眠時間とは、十分に眠ったという実感を得て爽快に目覚められる睡眠時間のこと。
短時間の睡眠でも日中に眠気を感じることなく十分に活動することができていれば、理想的な睡眠時間を確保できていると言えます。
そのため、自分の理想の睡眠時間を知ることがベストです。
理想の睡眠時間を知る方法
睡眠は、浅い眠りの「レム睡眠」と、深い眠りの「ノンレム睡眠」の2種類から成ります。
通常、人はレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルを90分ずつ繰り返し、レム睡眠の時に起きるとスッキリと目覚めることができると言われています。
つまり、6時間や7時間半など、90分の倍数となる睡眠時間が理想的であると言えます。
90分の倍数となる時間を意識して、さまざまな就寝時間を試し、その日の体調を手帳などに記録していけば自ずと自分に合った睡眠時間が見えてくるでしょう。
なお、理想的な睡眠時間を探す際は、毎日決まった時間に眠りに入ることが大切です。
寝だめはできる?
最近テレビや雑誌などでよく取り上げられていて、2017年には流行語大賞にもノミネートされた「睡眠負債」という言葉。
アメリカのスタンフォード大学の研究者によって提唱されたことがきっかけで、大きな話題を呼びました。
寝だめができるかどうかを述べる前にまず理解しておくべきポイントは「睡眠不足」と「睡眠負債」は違うということ。
睡眠不足は、ある一日、睡眠時間が短かったために日中、強い眠気などを感じる状態のことを指します。
一方、睡眠負債は、睡眠不足が積み重なり、自分でも気付かないうちに体調を崩していくような状態を指します。
誤解しやすいのが、休日に寝だめをすれば、睡眠負債が返済できるだろうと思うこと。
忙しい毎日が続いていると、週末の寝だめで少しは疲れが取れたように感じることもあると思いますが、実は逆効果。
睡眠不足の場合、1日たっぷり寝ることで解消される場合もありますが、毎朝7時には起きている人がお昼近くまで寝坊するような1日を過ごすと、体内時計がズレてしまい、次の日の朝起きるのがつらくなったり、睡眠の質を下げてしまうことに繋がりやすいのです。
体内時計のリズムが狂うと、正常なリズムに戻るまでに2日かかり、頭がさえない、体がだるいといった不調も現れてしまいます。
そのため、休日もいつもと同じ起床時刻に起き、遅くともその後2時間以内までに起きるのが理想的です。
とはいっても、休日くらいゆっくり体を休めたいという人も多いはず。どうしても週末に睡眠負債を返済したい場合は、普段と同じ時間に一度ベッドから出て、朝日を浴びて朝食を食べ、それから二度寝すれば体内時計の狂いを抑えることができます。
まとめ
仕事や家事、育児で忙しく、パソコンやスマートフォンが手放せない現代人にとっては、意識しなければ実行が難しい内容が多かったかもしれません。
最初は難しくても、続けることで次第に習慣化していくため、「スマホは就寝の1時間前から見ない」「寝る直前まで仕事をしない」などと心に決め、質のよい睡眠を得るためにも実践してみてください。